ロードスターキャピタル株式会社( 東証PRM:3482)

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ロードスターキャピタル株式会社( 東証PRM:3482)

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    公開日:2022.09.26

    株式会社ロードスターキャピタル(東証PRM 3482)は、今年大幅に株価が上昇しました。2022年の上半期(2022/1/4~2022/6/30)で時価総額が213.8億円から456.5億円とおよそ115%上昇しており、同期間においてTOPIXが6.5%下落していることをみても凄まじい勢いがあることが伺えます。Next ten-Baggar掲載企業30社の中でも2022年の上半期で時価総額の上昇率1位の、ロードスターキャピタル岩野社長へ、特別取材を行いました。

    今回は同社の株価がおよそ2倍にまで上昇し、市場を著しくアウトパフォームした背景にはどのようなことがあったのかについて、取材をもとに徹底的に深堀りします。

    ロードスターグループの事業について

    ロードスターグループの事業はコーポレートファンディング事業、アセットマネジメント事業、クラウドファンディング事業に大別されます。

    売上高ベースで見ればおよそ95%がコーポレートファンディング事業であり、残りがアセットマネジメント事業とクラウドファンディング事業となっており、コーポレートファンディングが大部分を占めていることが分かります。

    コーポレートファンディング事業●

    ロードスターキャピタルの主力事業であるコーポレートファンディング事業は、「不動産投資事業」と「不動産賃貸事業」にさらに分類されており、取得した不動産に対してバリューアップを施した上で賃貸することで賃貸収益を得て、頃合いを見計らって売却することで投資売却益を得るビジネスモデルになっています。

    取得する不動産は主に東京23区の中規模オフィスビルが中心で、四半期で0~3件を取得、売却しています。

    コーポレートファンディング事業の利益率はどうなのか

    「フィービジネスである賃貸事業は利益率が高いですが、それに加えて直近では不動産投資事業側でも利益率が高くなっています。

    不動産投資事業の利益率は減価償却費を除けば、およそ不動産売却益/不動産購入費用で表せますが、ちょうどFY22/2Qのタイミングで売却した不動産は、コロナ拡大によって一時的に不動産市場が混乱した際に安く仕入れられた不動産でした。このようなこともあって不動産売買では利益率で30%を超える数字を出せています。」

    このように利益率に関してはどれくらい安く不動産を仕入れて、どれだけ高く売るかによって変動があるので、同社を分析する際に利益率は不動産投資の戦績と言えるのではないでしょうか。

    【最近の物件の単価が伸びていることの背景についてはどうか】

    「会社の規模が大きくなるにつれ、単価が高めな物件を購入するほどの体力がついてきたということが一つ。もう一つが、機関投資家の不動産市場での動きが活発になってきたことです。不動産の流動性が高くなり、今までよりも少し単価の高い30億円程度の物件の方が売買をしやすくなっているので、このような大型の物件を仕入れています。

    一方で購入物件や売却物件の平均単価にこだわりを持っているわけでは無く、良質な物件があれば規模が小さくとも購入しようとは思っています。」

    同社を分析する投資家にとって単価は注目すべき点であるかもしれませんが、お話を伺う限り、単価に深い意味はないと捉えてよさそうですね。

    【取得する物件はどのようなものなのか】

    「既に満室の物件を購入する場合もあるし、ほとんど空のビルを取得する場合もあります。空室が多い物件であればあるほど、購入する投資家サイドのリスクは大きくなってしまい、おのずと買い手の競争は少なくなります。

    我々は、このような一般的にリスクがあるとみなされる空物件でもテナントを埋められる自信があるので、取得に向けて動くことができ、しかも相対的に安く物件を仕入れられることが多いのです。FY22/2Qでは賃貸収入が下がってしまっていますが、これは空の物件を取得しているからであり、収益貢献が遅れているからです。」

    空の物件も購入対象から外さないことで取得機会を増やす代わりに、賃貸収入が減ってしまうようです。一見すると賃貸収入が下がっていてネガティブに見えますが、今期や来期以降の賃貸収入、値上がり益への布石となっているわけですね。

    【不動産投資事業の売上高が第2四半期に偏っている背景はなにか】

    「不動産会社にとって期ずれをしたくないという意識があります。

    例えば第4四半期に不動産の売却を予定していたのに、何かあってそれが来期に繰り越されてしまったら通期の業績が会社予想を大きく下回ってしまう可能性があります。
    こういうこともあって第4四半期の不動産売却はあまりやりたくないという思いがあります。

    一方、第1四半期は通期の決算後でバタバタしています。そうなると第2、第3四半期で売却をする方向性になるので、大型物件などがあればなるべく第2四半期で売上が計上できるようにしたい、みたいな思いがあるのでこのようになっているという理解をしてもらえるといいです。」

    不動産会社なのに売上高に季節性があるように見えるのが不思議に思っていましたが、このような背景があるのですね。逆にFY21/4Qなどは物件を新たに4件も売却していますが売上高は少ないです。小さめの物件を売却し、ポートフォリオを見直している会社の様子がうかがえるのではないでしょうか。

    ●アセットマネジメント事業●

    アセットマネジメント事業は、まだ売上高構成比としては小さいもののこれから伸びていくことが期待される事業です。

    特にここ最近は受託資産残高の急激な積み上げが進んでおり、FY22/2Qまでで760億円となっています。投資家から受託した不動産を管理する代わりに運用報酬を徴収するビジネスモデルであり、コーポレートファンディング事業とは異なり、より大規模な物件や全国の物件を対象にできることから顧客層の拡大や安定収益の確保につながっていると思われます。

    ●クラウドファンディング事業●

    クラウドファンディング事業では、組成した不動産投資案件に対して個人投資家から出資を募ります。貸付型とエクイティ型の2種類で個人投資家の不動産投資への門戸を開いています。

    今日本で提供されている不動産クラウドファンディングサービスの多くは貸付型にあたり、BS上の負債の部分に出資するものです。ロードスターグループの不動産クラウドファンディングも、スキームは違えどほとんどは貸付型の商品となっています。

    一方で、エクイティ型の商品は、その名の通りエクイティ部分について出資をすることが可能な商品です。賃料収入に加えてキャピタルゲインが得られるのでリターンが大きくなる傾向があります。

    【エクイティ型の需要が多いと思われるが今後の予定はどうか】

    「エクイティ型については過去2件行い、どちらもほぼ償還が終わっていて利回りはとても良好なものとなりました。もっとやってほしいという声も頂くのですが、エクイティ型は組成するのが法制度的に大変です。

    エクイティ型に関しては今後大々的に展開していくというよりは、いつもお世話になっている投資家の皆さんに少しでも還元したいという思いの結晶であるという風に認識してもらうのがいいかと思います。」

    【クラウドファンディング事業の足元の環境はどうか】

    「他の事業がとても好調であることに比べると少し遅れている感覚があります。
    その背景には最近の不動産市場の活況があります。

    金融機関がこれまでよりも貸し付けをアクティブに行うようになったことで、当社で行う貸付型クラウドファンディングよりも良い条件を提示してくる金融機関に案件を奪われてしまうことがしばしばありました。ただしクラウドファンディング事業は売上としてあまり大きくないので影響は微小であり、案件組成の目標をビハインドしてもそれほど気にはしていません。当社がそれ以上に大切にしていることは『OwnersBook』の着実な成長と、『OwnersBook』を利用してくれる投資家の皆さんです。

    目標を達成するために何でもかんでも案件化するのではなく、不動産会社として培ってきた知見を活かす余地がある案件なのか、ただ不確実性が高いだけの案件なのか、その辺りの見極めはしっかり行って、投資家の皆さんに良い案件をご提供していきたいと思っています。

    会社としても、個人からお金を調達できるということは強みになっていると思います。というのも、例えばリーマンショックが起きた時のように銀行が全くお金を貸してくれなくなったとしても我々は個人からお金を調達できます、というのがとても強い差別化になってくると考えているからです。

    いざとなれば自分たちで資金を調達することが出来るロードスターキャピタルだからこそ、お金を貸しても大丈夫と金融機関の方も考えてくれていると思います。」

    クラウドファンディング事業についてはなぜ会社のリソースをそこまで割いてやっているのか不思議に思っている投資家も一定数いると思いますが、投資家への還元や会社の信用力といった非財務的な側面が強いということがお判りいただけたのではないでしょうか。

    ロードスターキャピタルの株価が好調である背景はなにか

    さて、ここまで事業ごとにロードスターグループのことを深堀りしてきました。
    なぜロードスターキャピタルの株価はここまで上昇したのでしょうか。

    初めのきっかけは2022/1/6の引け後に公表されたFY22通期の業績予想の公表のお知らせです。前年に比べて利益率が大幅に向上する予想であり、市場にはポジティブに評価され株価は100円以上上がりました。

    更に続けて1/12には自己株式の取得のお知らせを公表しました。不動産投資で儲けている会社ですが、財務状況も健全で自社株買いを行える体力を持っているということが市場ではポジティブに評価され、続け様に株価は200円近く上昇します。

    このあたりからロードスターキャピタルの出来高は一回り大きくなっており投資家の注目度も上がっていたのではないでしょうか。業績が好調で、配当も多く、財務が健全で、ある意味個人投資家ウケしやすい企業であると思えます。

    PERをみても利益の成長率のわりに割安なので市場全体から資金が抜けていく状況で資金が集中していったものと推測されます。

    ロードスターグループの直近の業績や今後の見通しについて

    ここから直近の業績と今後の見通しについてみていきます。

    公表されたFY22/2Qの決算を見てみると、売上高で135億円(進捗率73.2%)、経常利益で51億円(進捗率76.8%)と上半期のみで50%をはるかに超える進捗率を達成しました。

    この好業績を牽引したのはコーポレートファンディング事業の不動産投資で、コロナ時期に安く仕入れた物件を過去最高額で売却したこともあり非常に高い利益率を確保しました。

    ここまでくると増配や業績の上方修正についても考えられますが、2022年8月26日現在ではまだ公表はありません。ロードスターキャピタルとしては、どの不動産をどのタイミングで売却するかによってPLをある程度コントロール可能なので中長期的な会社の成長などを考慮して次の一手を打ち出してくることでしょう。

    最後に岩野社長に向こう10年間の不動産市場とロードスターグループについてどのような見方をしているか聞きました。

    「不動産市場はこれからどんどん開かれていくと思います。とはいえ、属人的なビジネスでありますので株とか債券みたいにネットですべて完結するというようにはならないのかなとも思います。

    投資商品としての不動産の流動性は高くなると思いますが、やっぱり最後は人対人のビジネスで、関係性の中で取引されるという部分は変わらないと思います。会社としては効率化、情報化は最大限取り入れて、
    一方で属人的なコミュニケーションも大切にして不動産会社としてのリレーションシップは大切にしていきたいと思っています。

    クラウドファンディングを通した他社との差別化、クラウドファンディングが更に普及した時に不動産市場全体にどのようなインパクトを及ぼすのかに興味を持ちながら、これからも不動産市場と向き合っていきたいと考えています。」

    上半期最終日:2022年6月30日

    上半期最終日時点の時価総額:456億54百万円

    当記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また何らかの保証・約束をするものではありません。
    投資に関する決定は利用者様ご自身のご判断において行っていただきますようお願い申し上げます。

    記事:小原 洋輝

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  • 会社情報

    社名
    ロードスターキャピタル株式会社 Loadstar Capital K. K.
    本社
    〒104-0061 東京都中央区銀座1-10-6 銀座ファーストビル2F
    電話番号
    03-6630-6690
    代表者
    岩野 達志
    設立
    2012年3月14日
    資本金
    14億2百万円(資本準備金とあわせて27億94百万円)

    事業内容

    クラウドファンディング事業
    コーポレートファンディング事業
    アセットマネジメント事業
    仲介コンサルティング事業


    役員

    代表取締役社長 岩野 達志
    取締役 久保 直之
    取締役 成田 洋
    取締役 川畑 拓也
    社外取締役 和波 英雄
    社外取締役 大西 純
    社外取締役 舩木 真由美
    監査役 田中 宏
    社外監査役 有泉 毅
    社外監査役 上埜 喜章

    代表プロフィール

    岩野 達志のプロフィール画像

    岩野 達志(いわの たつし)

    東京大学農学部卒。一般財団法人日本不動産研究所にてキャリアをスタートし、不動産鑑定業務に従事。 2000年よりゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパンにて自己投資・運用ファンドの不動産取得部門、2002年以降はアセットマネジメント部門。2004年からロックポイントマネジメントジャパンLLC ディレクターとしてエクイティ500億円以上、案件総額3,000億円以上を実行、ロックポイントグループの日本における不動産投資業務をリード。 不動産鑑定士、宅地建物取引士