テンバガー(10倍株)の見つけ方をご紹介!
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公開日:2022.06.21
更新日:2022.06.22
テンバガーを達成する銘柄を見つけるためにはどのように探していけばよいのでしょうか?
今回はテンバガーになりうる銘柄を探すための方法をご紹介します。株価が10倍になるには?
株価とは、
という数式で表されます。
EPSとは一株当たり当期純利益のことで、当期純利益を発行済み株式総数で割ることで算出されます。
またPERとは株価収益率のことで上記の式自体が定義となっています。
PERは市場のその銘柄に対する期待値としての側面があり、株価は上記の式のように実績(EPS)と期待値(PER)の掛け算として表現できていることが分かります。
株価が10倍になるにはEPSとPERの掛け算が10倍上がれば良いわけです。
具体的な過去の例で見ていきましょう。
証券コード(2413)エムスリーはおよそ5年で株価が10倍となった典型的なテンバガー達成銘柄です。エムスリーの株価が10倍となった仕組みを見るためにEPSとPERを確認していきます。エムスリーの株価は2014年12月頃、1,000円前後で推移していました。
当時のエムスリーのEPSは13.2円。一方、エムスリーの株価が最高値を付けたのは2021年1月8日の10,675円で、EPSは31.9円となっていました(エムスリーは間に株式分割を行っているため2014年のEPSは分割後に換算した修正EPSを用いています)。
つまりエムスリーの場合、テンバガー達成のからくりはEPSが2.4倍、PERが4.2倍となったことで2.4×4.2≒10倍ということだったのです。テンバガー見つけ方のポイント
ではここからはテンバガー銘柄を発掘する際のポイントを解説していきます。
先に見た通り、株価はEPSとPERの積で表されるため、それぞれがどのくらい伸びるポテンシャルがあるのかということが大事になってきます。EPS、PERそれぞれについて、およそ3倍に上昇する方法を考察していきましょう。●EPSについて
まず、EPSについてです。EPSが3倍になるということは利益が3倍となるということですが、この水準は中小型の成長株なら実現可能でしょう。具体的には時価総額が300億円未満の銘柄を指します。このような銘柄はそもそも利益の絶対額が小さいため、利益の伸びしろとしては十分あるわけです。
ただしEPSが上がるからと言って、必ずしも株価は上がりません。何故ならEPSが上がるということは、見方を変えるとこれまで事業に期待されていた部分がEPSに実績として織り込まれていくということだからです。
イメージとしては、1億円が当たると期待して宝くじを購入した場合を考えてみてください。購入した時点では宝くじが当たるのではないか?という1億円に対する期待がありますが、実現利益は0です。もし1億円が実際に当たったらどうでしょう。実現利益として1億円が手元に入りますが、一方でもう二度と1億円が当たることは無いだろうと思うのではないでしょうか。
このように、もうこれ以上期待するものが無ければたとえEPSが上がったとしてもPERが下がってしまいます。“材料出尽くし売り”などと呼ばれるのがまさにこれにあたります。●PERについて
では次にPERを見ていきましょう。
PERは期待値としての側面が大きいので、PERが今の3倍まで上昇するということは、今の3倍の期待が付与されるといったイメージになります。
EPSが3倍というと大型株ではまず不可能かつ、中・小型株で3倍になっているケースは往々にして赤字続きの企業である場合がありますが、それに比してPERが3倍は簡単ではありませんが相対的に達成可能性が高くなります。
期待値が高い・高くなる企業はどのような企業でしょうか。
最近はかなり株価として落ち着いてきましたが、SaaS系の企業は一時期とても高いPERが許容されていたと思います。その理由はストック収入で安定した収益を得られ。尚且つ原価が低いということがあると思われます。このようにビジネスモデル的に優位なポジションを確立できる場合が高PERの許容される一例ではないかと思います。以上、EPS、PERそれぞれの観点で銘柄を分析することでテンバガーを見つけてみることをお勧めします。
そのうえでオススメな銘柄選定基準としては、
①継続的に成長し続けている企業
➁時代の潮流に乗った企業
この2つの方向性で銘柄を探していくことが良いかと思います。順番に見ていきましょう。①継続的に成長し続けている企業
グロース株は、EPSの成長にけん引されて中長期でテンバガーを達成する場合があります。例えば証券コード(9843)のニトリHDは2022年2月期の決算で35期連続の増収増益を達成したグロース株の筆頭格です。ニトリHDの株価は下図を見れば、10数年も前から成長し続けていることが分かると思います。
実際ニトリHDは10年以上かけてテンバガーを達成しています。
では次にニトリHDのテンバガー達成のドライバーとなるEPS、PERの変化を見てみましょう。ニトリHDの場合、PERはそこまで変化はしておらず、EPSが成長した分だけ株価が上昇していることが分かるのではないでしょうか。 このことは理解にそう難くありません。ニトリHDは家具・インテリアを取り扱う製造兼小売りの大企業です。
規模を拡大させていくことで長い年月の中で利益を伸ばしていった同社ですが、何か「これは伸びる!」といった新規事業などカタリストが存在していたわけではないため、PERが上昇する要因はありませんでした。逆に人間の衣食住の“住”に関わる大きなマーケットで首位にいる同社は、別段大きく期待値が下がる出来事もなかったわけです。
というわけで、一つ目のポイントは継続的かつ安定的に成長が見込める手堅い企業ということになろうかと思います。その企業の本源的な価値が何か、長期的に見て勝てる競争優位性はあるのか、といったファンダメンタルズ的な部分が大切になってくるのではないでしょうか。➁時代の潮流に乗った企業
時代の潮流に乗った企業は一気に株価が上昇する可能性を秘めています。今で言えばWeb3.0、メタバースといった言葉が登場する銘柄の株価は、何らかの形で一度注目されれば一気に株価が上がることがあるのではないかと思います。
例えばテンバガーには至らなかったものの、かなりの速度で株価が上昇した証券コード(4488) AI INSIDEが分かりやすい例だと思います。同社の事業はAI・機械学習×SaaSということで大変注目を集めました。AI技術を活用して機械学習により手書きの文字を画像認識で文字として判別するシステムを企業向けに販売しています。同社の株価上昇のカタリストは業績の上方修正と事業内容の魅力でした。業績に関するインパクトもあったと思われますが、2019年12月に上場し11か月後におよそ8倍の最高値を付けたことを鑑みるに、期待によって買われたところが多分にあったと思われます。
なお同社はその後、大口顧客のNTT西日本が契約の一部を更新しないことで大幅な売上の減少が見込まれることから、株価は暴落しています。
というわけで、二つ目のポイントは話題性があり爆発的な成長の可能性がある銘柄ということになります。社会で今何が注目されているのか、最新のニュースを追い銘柄をスクリーニングすることでこのような銘柄に先回りすることが重要になってくるのではないでしょうか。まとめ
いかがでしたでしょうか。テンバガーを達成する銘柄にも業績ドリブンなテンバガーと期待値ドリブンなテンバガーの2種類があることがお判りいただけたと思います。
どちらのタイプの銘柄を探すにしても、そのリサーチにはかなり時間をかけることが必要だと思います。市場環境が不安定な今だからこそ、いたずらに株取引を行うのではなく、株価が10倍になるテンバガーの芽を探すために時間を割いてみても良いのではないでしょうか。記事執筆:小原 洋輝
現役東大生トレーダー。東大の株式投資サークル所属。副代表を務める。テンバガー経験談 投稿フォームはこちらから
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