過去のテンバガー銘柄を分析③東京機械製作所(6335)

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コラム記事

過去のテンバガー銘柄を分析③東京機械製作所(6335)

  • 公開日:2022.05.24

    更新日:2022.06.11

     過去にテンバガーを達成した銘柄の中で、2021年の期中にテンバガーを達成した銘柄は、グローバルウェイ(3936)、INCLUSIVE(7078)、東京機械製作所(6335)の3銘柄でした。

     今回は東京機械製作所(6335)について、テンバガー達成までの株価推移とその後の推移を見ていきます。

     以下の株価/出来高推移のグラフご覧の通り、前回記事のグローバルウェイ同様、ある時突然株価が暴騰し、その後それを押し戻すように株価は急落してしまっています。なぜ暴騰しその後暴落したのか、その理由を見ていきましょう。

    東京機械製作所の事業について

     東京機械製作所は1916年設立の歴史ある新聞用輪転機メーカーで、1949年に上場しました。

     事業セグメントは印刷機械関連事業の単一セグメントで、大手新聞社を顧客として新聞印刷を担っています。

     単一セグメントではありますが、その中でさらに区分けがされていて、輪転機事業と新規事業、それを支えるICTプラットフォーム事業に分かれています。

     輪転機事業では、輪転機の新台の生産、および保守・メンテナンスを行っています。輪転機とは印刷機の一種であり普通のコピー機に比べて大量印刷した際にかかるコストが低い代わりに、フルカラー印刷が出来ない印刷機のことで、新聞の発行に適しています。

     また、新規事業としてAGVの生産、産業機械等の加工・組立の他にも複数検討中です。さらにICTプラットフォーム事業ではIoT化の一環として輪転機AIなど、各事業の付加価値を高める取り組みも行っています。

     同社は日本全国の新聞社と取引があり、新聞輪転機のシェアは全体の49%を占めています。

    東京機械製作所の業績について

     直近10年間の業績を見てみましょう。

     ご覧のように同社の売上高は概ね80~130億円と安定して動きを見せています。

     しかし、FY22の予想では新規受注案件の契約の来期への延期や、案件の更新計画の見直しなどに伴い大幅な売り上げの減少を見込んでいます。

     また、世界的な部品不足の影響や新聞業界衰退などによる影響も無視することはできないでしょう。

    ビジネスモデルに対する筆者の所感

    • 正直に、新聞は斜陽産業なので投資対象にはなりづらい。
    • 後述する買収騒動があってか、中期経営計画を公表し過去への猛省と改革の意思が伺えることは評価できる。
    • とはいえ、業界自体への期待感の薄さがあるため、業績的なインパクトを示さない限り堅実な株価成長は見込めないだろう。

    テンバガー達成までの経緯

    ■買いが買いを呼び、株価が大暴騰

     ではここからテンバガー達成までの経緯を見ていきましょう。

     東京機械製作所がテンバガーを達成した経緯は、これまで紹介してきた
    INCLUSIVE(過去のテンバガー銘柄を分析①INCLUSIVE(7078)https://next10bagger.jp/org-article/7078/)や、
    グローバルウェイ(過去のテンバガー銘柄を分析②グローバルウェイ(3936)https://next10bagger.jp/org-article/3936/
    とは少し毛色が違います。

     同社は2021年3月1日時点の株価は311円でしたが、そこから次第に買いが入り4月上旬には500円に到達、そこから再び上昇し7月終わりには1400円にも上ります。この辺りで株価の値動きは一服するものの、9月初めに再び株価は大暴騰し、9月10日には最高値の3720円を記録。見事にテンバガーを達成しました。

     なぜ、新聞メーカーの株価がこのような動きをしたのでしょうか。この背景にはスタンダード市場上場の香港系投資ファンド「アジア開発キャピタル」の子会社・アジアインベストメントファンドによる東京機械製作所の株式買い付けがあります。

     初めてアジア開発キャピタルの動きが確認できたのは2021年の7月20日になります。大量保有報告書が提出され、7月13日付で690,800株(7.91%)を取得、翌日には128万株(14.73%)、さらに翌日には181万株(20.84%)を買い付けました。

     その後も何度か大量保有報告書を提出したことで、期待感からか個人投資家の買いも加わり、株価は1,000円代まで上昇しました。

    ■期待が暴騰しテンバガー。その後は・・・

     そして8月中は株価も比較的落ち着いていましたが、8月末にはさらに動きがありました。東京機械製作所は8月30日付でアジアインベストメントファンドによる大規模買付行為に対抗するべく新株予約権の無償割当てに関するお知らせを発行しました。既存の株主に新株予約権を発行し株式を保有してもらうことで、敵対的買収を防ごうという東京機械製作所の意図でしょう。因みにこの手法のことを一般に「ポイズンピル」と呼びます。この対策措置を好感し、株価は連日大幅に上昇。期待が期待を呼び9月10日には最高値3,720円を付け、テンバガーを達成するのでした。

     (少し補足をすると、アジア開発キャピタルは新株予約権を持っていませんでした。そのため、もし仮にアジア開発キャピタルが東京機械製作所を買収するために50%以上の株式の買付けを行ったとしても、その後新株予約権で新たに購入された株式のせいで、相対的にアジア開発キャピタルの持ち株が50%を割り込んでしまうという背景がありました。この買収防衛策に対し、アジア開発キャピタルは異議を申し立てましたが後に却下されています。)

     しかし、同日東京機械製作所から「当社株式の不自然な大量買付け等について」と題されたお知らせが公表され、アジアインベストメントファンドの買付けに対する情報提供・調査依頼を証券取引等監視委員会などに対して行ったということが分かったのです。金曜日でした。

     休日を挟み迎えた月曜日、株価は暴落しました。9月14日から9月16日の三日間で1,000円以上の下落をして、東京機械製作所のテンバガーは呆気なく終わってしまいました。

     アジア開発キャピタルの株式買い付けを巡る一連の株価暴騰に関しては個人投資家の投機的な買いの連鎖により引き起こされたものであると推察されます。実際に当時のヤフー掲示板のログを確認してみると、9月1日~9月10日の掲示板では「ここは買えば買うだけ上がる」や「目標株価6,000円!」(実際は最高値が3,720円)などといった根拠のない憶測が飛び交っていました。買いが買いを呼び、「まだもう少しいけるんじゃないか?」、「あと少しだけ…」といった雰囲気だったのでしょう。まさにバブルだと思います。

    まとめ

     今回はテンバガー達成銘柄として東京機械製作所(6335)を紹介しましたが、現実的な話をするとこの銘柄でテンバガーを狙うことは基本的に不可能だと思います。

     はじめに紹介した通り3月1日に買ったとして、その値段は311円。株価が3110円を突破したのは暴落2営業日前の9月8日でした。つまり9月8日か9月9日に売らないとテンバガーの利鞘を得ることはできないわけです。しかも次の日からは売りが売りを呼ぶ局面で、売りたくても買い手がいないような状況です。

     テンバガー銘柄を仕込みたい場合にはやはり短期的なニュースや注目度合ではなく、ビジネスモデルや財務状況などファンダメンタルズ的な側面を重視したいところですね。

    記事執筆:小原 洋輝
    現役東大生トレーダー。東大の株式投資サークル所属。副代表を務める。

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