株式投資は副業になるの?
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公開日:2022.08.01
更新日:2022.08.03
昨今、多くのサラリーマンが株式投資を始めています。一般的には副業を禁止している会社が多い印象ですが、株式投資は副業にあたらないのでしょうか?
今回は、副業で株式投資を始めるための基礎知識をご紹介いたします。株式投資は副業になるの?
結論から言うと、「株式投資は副業ではない」とみなされることが多いです。
そもそも副業とは、本業とは別に副収入を得ることです。対して、株式投資において生じる収益は、あくまでも株式の売却による差額益を受け取っているのであって、誰かから報酬を得ているわけではありません。
株式投資では「労働の対価」として得た報酬ではなく、「資産運用」による収益を受け取っているため、副業とはみなさないというのが主流な考え方となっているようです。
しかし、副業に関して法律で明確に定められているわけではなく、判断は会社によって異なるので、事前にきちんと確認しておいたほうがよいでしょう。会社に知られたくない場合は・・・
副業にあたらないとしても、会社にバレずに株式投資をしたいという方もいるでしょう。
株式投資による収益を得ていることが会社に知られる原因は「住民税」です。
住民税の徴収法として、勤務先の会社が従業員に代わって毎月の給与から住民税を差し引いて納める「特別徴収」という方法がとられているためです。
これを避けるためには三つの方法があります。❶源泉徴収ありの特定口座を選択する
源泉徴収ありの特定口座を選択して口座開設をすると、株式投資で得た収益に関する確定申告が不要になります。証券会社が納税対応を代わりに行ってくれるため、株式投資をしていることを勤務先の会社に知られることはありません。
❷ NISA口座で株式を運用する
「NISA(ニーサ)」というのは、「少額投資非課税制度」のことです。2014年から2023年までの間、毎年120万円(2015年まで100万)までの投資で得た利益が5年間非課税となる、という制度です。
サラリーマンの副業ではこの額におさまることが多いため、本来20%の税が非課税になることでかなりのメリットが期待できます。さらに非課税であるため、住民税の手続きも不要になります。➌確定申告時(または住民税申告時)に「自分で納付(普通徴収)」を選択する
住民税の支払いには、先程述べた「特別徴収」と、自分で直接納付する「普通徴収」があります。
給与所得にかかる住民税は「特別徴収」、株式投資の利益にかかる税金は「自分で納付」と分けて納めるようにすれば、株式投資による収益について勤務先の会社側が関与することはできません。
ただし、なぜ普通徴収にしているのかと会社に怪しまれることもあるので、できれば「源泉徴収ありの特定口座」を使うのがおすすめです。副業で株式投資をするメリット
●基礎知識だけで誰でも資産運用ができる
投資は基礎知識さえ学んでしまえば誰にでもできる副業です。投資の方針にもよりますが、専門知識が必要のない運用方法もありますので、誰にも始めやすいのが特徴です。
●時間をかけずに資産運用できる
本業以外の仕事で収入を得る一般的な副業の場合、多くの自由な時間を割いて別の仕事をして収入を得ることになります。
この方法だとかなり時間がかかってしまいますし、体力的にも精神的にも負担が大きくなってしまうことが考えられます。
その点株式投資であれば、株式を購入するだけで資産運用を行うことが可能です。
けれども株式投資に関する基礎知識を身に着けたり、様々な企業の経営状況を把握したりする必要があるため、全く時間がかからないというわけではありません。しかし、インターネットを用いていつでもどこでも取引可能という点においては、かなり効率的な資産運用の方法だといえるでしょう。●株主優待を受けられる
「株主優待」が受けられるのも副業感覚で株式投資するメリットといえるでしょう。
自分の好きな会社の株を保有しているだけで、商品がもらえたりサービスを受けられる株主優待は嬉しいですよね。上場企業によっては、株主限定の商品を用意する会社もあります。
ただし、株主優待の内容に気を取られて、肝心なその企業の業績について調査不足にならないよう気を付けましょう。●大きく稼げる可能性がある
株式投資において、株価が買った時の2倍や3倍、さらには10倍になることもあります。
本業以外の仕事で副業収入を得ることに比べると、圧倒的に効率よく稼げる可能性があるのです。
もちろん収益を大きくするためには、高いリスクを取る必要があります。また株式投資に関しての勉強を行ったり、企業の業績について分析したりする必要もあるため簡単ではありません。
しかし大きく稼ぎたいのであれば、株式投資はメリットが大きいと言えるでしょう。副業で株式投資をするデメリット
●元本割れのリスクがある
株式投資では元本割れとなってしまうことがあります。Web系の副業やアルバイトなどの場合は、元本割れをしてしまうということはあり得ません。
そのため他の副業と比較してリスクが高いと言えるでしょう。
多くの人が投資を行うことを躊躇する理由はこのリスクにあるでしょう。資産を増やそうと始めた副業で損をしてしまったらショックですよね。リスクを全く取りたくないと言う人にとっては、これは大きなデメリットになります。●初期投資額が比較的高額
株の初期投資は最低でも10万円を超える場合が多いです。
他の投資、例えば投資信託であれば最低100円から購入できます。
もちろん、金額が低い株もあることからすべてとは言えませんが、投資信託に比べると株の初期投資額は比較的高くなりやすいです。副業感覚で株式取引を始めたい人は、投資に回せる十分な資金があることを確認しましょう。資金に余裕がない中で投資に回してしまうと結果として損する可能性があります。●利益を出すまでに時間がかかることもある
リスクをあまり取らずに資産を増やしたいのであれば長期投資がおすすめです。
長期投資の場合には、10年や20年、場合によっては30年などの長期間にわたって株式を保有し続ける必要があります。すぐに利益を出したい場合には短期投資を行う必要がありますが、長期投資に比べてハイリスクですし、本業で忙しい方がこまめに株価をチェックして取引するのも難しいでしょう。
つまり低リスクで利益を出したいのであれば、時間をかけるしかありません。その点はデメリットと言えるでしょう。副業で株式投資をする際の注意点
❶確定申告する必要がある
確定申告は株式投資で出た利益分の金額次第です。
そもそも株式投資の所得には「配当所得」と「譲渡所得」の2種類があります。
配当所得とは、株を持つことで得られる配当金のこと、譲渡所得は株の売却で得られる所得のことです。
配当所得は自動的に源泉徴収されますが、譲渡所得は年間の金額が
★20万円を超えると確定申告が必要★
です。年間で株の収益がどのくらいあったのかを記録するようにしましょう。❷好きなタイミングで売買できない可能性がある
株式投資では、市場が開いている時間帯ならいつでも取引できますが、希望するタイミングでの売買が困難なケースもあります。
- 自分が売りたいと思っている価格で購入を希望する人がいない
- システムのトラブルにより売買ができない
- 大量の注文がすでに入っており、自分の注文がなかなか処理されない
このようなケースでは取引できないケースも多く、たとえ取引が出来たとしても希望した価格での購入・決済が出来ない可能性もあります。その結果として、不利益を被ることがあることを覚えておきましょう。
本業中心の生活をしているとタイミングを狙って取引するのは難しいでしょう。
したがって副業感覚で株式投資をする人は、デイトレードなどのように短期で取引を行うのではなく、長期保有を前提とした取引がおすすめです。➌業種によっては禁止されている
金融商品を取り扱う証券会社・保険業などでは、従業員の金融商品の取引が禁止されています。
業務上得た知識・情報から特定の金融商品に投資して利益を得た場合、インサイダー取引と判断されてしまいます。
基本的に株式投資は資産運用にあたりますが、繰り返し行っていると副業とみなされることがあります。まとめ
株式投資を副業としてお小遣い稼ぎをしている会社員の方は増えてきています。スマートフォンで気軽にできるので、思わぬ落とし穴にだけ注意して取り組んでみるのはいかがでしょうか。
企業理解や市場理解につながったり、経済への関心が強くなるなど、本業にも役立つことが増えるかもしれません。利益が出たら一石二鳥ですよね。
まずは目標額を高く設定せず、少し増えたらいいな程度の感覚から始めてみると、長く継続できるのではないでしょうか。
株主優待を目標にしたり、毎日増えたか減ったかを確認したり、同じく株式投資をしている人たちを見つけて意見交換、情報交換をすることはきっと楽しいはずです。損益などで気が滅入ってしまい本業に支障が出てしまうのでは本末転倒ですので、何か一つ楽しみを見つけて株式投資をしてみてください。