関通( 東証GRT:9326)

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社長インタビュー記事

関通( 東証GRT:9326)

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    公開日:2021.04.27

    年間出荷実績1,100万個を誇るEC・通販の配送代行業が、ITオートメーション事業に進出

    1983年7月創業の株式会社関通は、わが国におけるEコマースの黎明期から、ECや通信販売事業を行う顧客の配送センター業務を代行する物流サービス事業を展開してきた。

    現在は関西および関東エリアに計22カ所の配送センターを擁し、年間約1,100万個の出荷実績を誇る。

    派遣社員を使わず、すべて自社雇用の従業員による業務品質の高さが強みだ。近年は、自社が開発し現場で磨き込んだ倉庫管理システムなどを提供するITオートメーション事業を別セグメント化し、次なる成長エンジンとして力を入れている。
    そんな同社のten-Bagger戦略を、創業者で代表取締役の達城久裕氏に聞いた。

    事業内容:EC・通販物流支援サービスを柱に、自社開発システムなどの販売も

    <物流サービス事業>
    主にECおよび通信販売業を行う顧客の販売商品の入庫、在庫管理および出庫などの配送センター業務を代行する「EC・通販物流支援サービス」、Eコマースにおける購入者の注文内容の確認および電子メール対応、入金確認、出荷指示データ作成などを代行する「受注管理業務代行サービス」、一連の事業で培ったノウハウをもとに、顧客の物流現場改善による生産性向上を導く「物流コンサルティングサービス」、日本最大級のショッピングモールである「楽天市場」が出店者に提供する物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」の関西地区における当該業務を受託する「楽天スーパーロジスティクスサービス」を提供。

    <ITオートメーション事業>
    自社開発による倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)の『クラウドトーマス』やチェックリストシステム『アニー』を外販。

    RPA作成代行サービス『ippo!』、ECサイトの受注処理自動化システム『e.can』の提供を開始。

    <その他事業>
    ミャンマーの日本語学校運営企業と提携しての外国人技能実習生教育サービスの提供、および発達障がいのお子様向けの放課後等デイサービスや発達障がいの方向けの就労移行支援事業所をフランチャイジーとして運営。

    業績動向:売上高は120%前後のペースで成長

    直近4年間(2018年2月度~2021年2月度)の売上高は、52億5,400万円、64億6,800万円、73億0,100万円、95億3,000万円と120%前後のペースで成長を続けている。

    同じく、営業利益は1億6,000万円、1億2,600万円、2億9,100万円、4億1,800万円と推移し、直近の2期は231%、143%と高い伸びを見せている。

    事業戦略:“人づくり”を優位性の根本に置き、業務改善活動の結果をサービス化

    1983年に軽貨物運送業としてスタートした同社は、91年に本社物流センターを開設し、配送センター代行サービスに参入する。

    2000年頃のインターネット通販黎明期からEC・通販物流支援サービスをスタートさせ、以来、当該市場の興隆とともにノウハウを蓄積しながら成長を続けてきた。

    「『楽天市場』のスタート当初から出店者にサービスを提供し、有名ショップの成長を下支えしてきたと自負しています。

    出店者様の成功事例や失敗事例をたくさん見てきました。それを基にしたアドバイスをはっきりと伝える、本気のお付き合いをするので、疎ましく感じられているお客様も少なくないと思います。

    しかし、当社はECショップの成長をしっかりと支え、成長するお客様にとって信頼できるパートナーであり続けてきました」と達城氏は胸を張る。

    楽天様からは、同社が出店者に提供する「楽天スーパーロジスティクス」のアウトソーシングを要請される。

    出店者にどの配送代行サービス事業者がいいかアンケート調査を行ったところ、 “関通”の名前が数多く挙がったことによるという。

    このことも、同社の優位性の証といえる。その優位性の根本となっている業務品質の点では、まず整理・整頓・清潔・躾・清掃の“5S”を徹底する人づくりに力を入れている。

    具体的には、出荷量の大きな変動を派遣スタッフで調整するのではなく、全従業員を自社が雇用し、パート社員に至るまで教育研修を行った上で現場に配属している。

    「派遣に頼らず自社雇用に徹し、パートまで教育している事業者は稀」と達城氏。
    そして、配送センターを関西および関東の一定のエリアに集中して設けるドミナント戦略を取ることで、出荷量の変動に応じて自社従業員を柔軟にシフトさせるピークコントロールを可能としている。

    こうした基盤を確立させた上で、配送現場における異物混入対策やミス削減、業務効率化を追求するシステム開発・導入などの業務改善活動に地道に取り組んでいる。

    事業戦略の特色としては、こうした業務改善活動の結果として成果が上がった内容をそのまま新サービスとして顧客に提供し、サービスラインナップの拡充を図ってきたことが挙げられる。

    成長可能性:「ITオートメーション事業」であらゆる業種へ進出

    サービスラインナップ拡充戦略の最たる成果が、『クラウドトーマス』やチェックリストシステム『アニー』という自社開発システムのサービス化だ。

    『クラウドトーマス』は、倉庫内の在庫数を正確に把握するとともに、倉庫内業務を効率化するためのWMS。

    スマートフォンを用いて“音”と“色”で業務指示を出すので、誰でも簡単に作業ができ、作業員の“記憶”で作業をさせないことでミスを防く。

    ペーパーレス化に繋げ、様々な物流ロボットや受注管理システムなど上位システムとの連携も可能。

    データの一元管理により、荷主側と倉庫側は常時在庫や入出庫状況の確認ができる。同社は、この『クラウドトーマス』を同業者や自社配送センターを持つ流通業、製造業などへの外販を始めている。

    「競合するWMSはいくつかあるが、配送センター業務を手がける事業者が自ら開発し、現場で磨き込んできたという製品は『クラウドトーマス』だけ。かつ、どんなにいいシステムであっても、使いこなせない現場は数多い。

    当社は、物流現場が本当に使いこなせるまで、徹底した導入支援サービスを提供している。お客様に対する説得力は全く違い、解約率も非常に低い」と達城氏は強調する。

    『アニー』は、“マニュアル”と“チェックリスト”の機能を備えた、クラウド上で使える業務効率化ツール。チェックリストの形で業務を“見える化”し、マニュアルを作成・更新できるので、属人的な業務を誰でもできるようにする。

    自社開発システムだけでなく、外部ベンダーの自動化・省力化ロボットやマテハンを積極的に導入。

    「深圳やロサンゼルスといった先端技術の集積地で隈なく情報収集し、いいプロダクトが見つかれば購入している」と達城氏。

    こうして導入したものの中で、高い効果を実証できた自律走行ロボット『Syrius』、RPAツール『BizRobo!』の販売パートナーとなり、“クラウドトーマス×Syrius”によるデータ自動連携や、“KANTSU×BizRobo!”によるRPA作成代行サービス『ippo!』の提供も始めている。

    同社は2021年3月からの新年度より、自社開発プロダクトおよび外部ベンダーのプロダクトを提供するサービスを「ITオートメーション事業」として別セグメント化し、もう1本の経営の柱に育てていく方向性を打ち出した。

    『アニー』は、特に効果を発揮している介護事業者や士業を中心に、『ippo!』はあらゆる業界に広めていける。

    これらのプロダクト/サービスを武器に、ECおよび通信販売業以外のお客様層の獲得をすすめる構えだ。

    なお、同社は発達障がいの子供向け放課後等デイサービス事業も運営しているところから、障害を持つエンジニアを東京・秋葉原のシステム開発部で雇用している。

    「対人コミュニケーションには難があるが、技術力は非常に素晴らしい。エンジニアが社会的に極めて不足している中、こうした存在を発掘、活用できるノウハウも当社ならでは」と達城氏。

    物流サービス事業においては、2021年6月までに1万坪以上の大型倉庫を新設。
    目玉は、大型冷凍自動倉庫だ。目下、“糖質オフ”を謳った冷凍のダイエット食品や、高齢者向けの冷凍軽食が急増している。

    この需要の伸びを漏らさずキャッチしていく。さらに、Youtuberによるライブコマース領域に着目し、今後の成長が見込まれる当該市場を取り込んでいく。

    「ライブコマースは、特に中国において爆発的に伸びている。日本でも今後急拡大していくことは確実。当社は以前からYoutubeチャンネルを開設しているが、すでに著名Youtuberからのオファーを受け、そのライブコマースのフルフィルメント業務を行う準備を進めているところ」と達城氏は意気込む。

    Coverage:2021年4月27日

    時価総額:108億21百万円





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  • IRニュース

  • 会社情報

    社名
    関通 KANTSU CO.,LTD.
    本社
    〒577-0015 大阪府東大阪市長田1丁目8-13
    電話番号
    06-4308-8901
    代表者
    達城 久裕
    設立
    1986年4月28日
    資本金
    4億49百万円

    事業内容

    ・委託型配送センター代行
    ・自社物流センター運営移管
    ・ECサイト受注管理業務代行
    ・冷凍冷蔵配送センター
    ・自社物流改善プログラム
    ・倉庫管理システム『クラウドトーマス』開発・販売
    ・チェックリストシステム『アニー』開発・販売
    ・ミャンマー・ヤンゴンBPOセンター
    ・PODサービス
    ・『学べる倉庫見学会』セミナー運営・開催
    ・外国人教育支援『Oceans』


    役員

    代表取締役社長 達城久裕
    専務取締役物流事業統括担当 朝倉寛士
    専務取締役営業本部、教育事業本部担当 松岡正剛
    常務取締役経営企画本部担当 達城利卓
    常務取締役管理本部担当 片山忠司
    常務取締役東京物流事業本部担当 古川雄貴
    取締役(常勤監査等委員) 池本克之
    取締役(監査等委員) 草深多計志
    取締役(監査等委員) 田端晃

    代表プロフィール

    達城 久裕のプロフィール画像

    達城 久裕(たつしろ ひさひろ)

    1960年 大阪市生まれ 1983年 軽トラック1台で運送事業を開始 1986年 有限会社軽サービス設立 1996年 株式会社関西商業流通に組織変更 1999年 EC物流アウトソーシング事業開始 2009年 株式会社関通に社名変更 2020年 東証マザーズ上場