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ピアズ( グロース:7066)

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    公開日:2022.08.04

    次世代型接客システム「ONLINX」と「ビデオコールセンターシステム」で接客の常識を塗り替える

    創業来、通信業界キャリアショップの販売支援と店舗コンサルティングを通じて、最良の接客・おもてなしの在り方や人材育成を追究してきた。コロナウイルス感染症による社会の変化を的確にとらえ、通信業界の販売支援をオンライン接客へ切り替え、新たなサービスも次々と軌道に乗せてきた。

    2025年9月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高100億円、営業利益8億円を掲げ、システム提供も可能な会社へと変貌を遂げようとしている。

    当面の成長の起爆剤となるそのシステムは、次世代型接客システム「ONLINX」と、通信業界を支援してきたノウハウを詰め込んだ「ビデオコールセンターシステム」の2つだ。中長期的には、それらのシステムをベースに「おもてなしテック」を世界へ輸出することや、メタバース市場での事業立ち上げといった成長機会も見据えている。

    そんな同社のテンバガー戦略を、代表取締役社長の桑野隆司氏に聞いた。

    事業内容:通信業界のキャリアショップへの支援がすべての起点

    <セールスプロモーション&オンライン接客:セールスプロモーションサービス>
    通信業界のキャリアショップ向けを中心に販売促進支援、店舗コンサルティングを提供。実際に店舗へ赴き、人的支援だけでなく、オペレーションの改善など現場でのリアルなコンサルティングを実施してきた。

    新型コロナ感染症で店舗へ足を運ぶことができなくなり、店舗への研修をオンライン化するだけでなく、来店するエンドユーザーとの商談をオンラインへ切り替えて販売支援できるようにオンライン接客センターの運営を開始。

    システムも自社で独自に開発し店舗へ提供を開始。2022年3月には、オンラインだからこそ接客のクオリティ向上が可能な次世代型接客システム「ONLINX」を、同年5月にはオンライン接客の現場で改良を重ね、他業界への販売も可能とした「ビデオコールセンターシステム」の販売を開始した。

    通信業界を主たる顧客とし、金融・保険、住宅メーカー、車ディーラー販売などの高付加価値な商材を扱う業種を中心に、他業種他業界へ提案先を広げている。

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    業績動向:新規事業への費用が先行した時期を経て、ここから約4年で売上高は3倍へ、安定的な収益維持が可能な業容規模へ拡大することを目指す

    2021年9月期に売上高3,130百万円、経常利益137百万円、当期純利益52百万円で、連結決算を開始した2020年9月期比では減収減益となった。

    新型コロナウイルス感染拡大を背景に、飲食店や小売店への営業を自粛したことが減収の主因。減益は新規事業への先行投資やオンライン接客センター立ち上げに当たり、外注で接客スタッフ人材を確保したことによる粗利の悪化が要因。

    なお、2022年9月期の会社予想は売上高3,490百万円(前期比+11.5%)、経常利益63百万円(同▲54.1%)、当期利益37百万円(同▲28.9%)と増収減益を見込む。2022年9月期第二四半期決算発表時に、期初に公表した通期業績計画の上方修正も行い、外注の解消と先行投資の見直しを背景に赤字見込みから黒字見込みへ改善している。

    オンライン接客センターの運営にあたり、嵩んでいた費用を内製化するなど、体制構築による筋肉質な収益構造への転換も済んだ。冒頭にふれた中期経営計画、売上高100億円、営業利益8億円達成に向けて着々と前進している。

    事業戦略:通信業界のキャリアショップ支援で培ってきたノウハウを「ビデオコールセンターシステム」と「ONLINX」へ落とし込み、他業界への展開を狙う。

    生業である通信業界のキャリアショップへのコンサルティング事業は、通信キャリアからの依頼を受けて販売チャネルの支援を行い課題解決するものだ。

    従来は、キャリアショップとケータイコーナーの延べ数で全国3000店舗に出入りし、採用支援、人材育成・定着支援、業務効率化といった顧客支援をコンサルティングとして提供してきた。そのノウハウを他業界へ横展開することで「社会全体の働きがいの最適化」を試みることを事業戦略に掲げてきた。

    コロナ以前から、キャリアショップを支援する過程で二つの課題を感じていたと桑野氏は語る。一つ目は、キャリアショップの最大の課題である接客の人手不足を補う省人化・効率化についてだ。

    待ち時間の解消も含め、「良い販売員の育成・おもてなしの量産」にあたり省人化の必要性を感じていたが、接客をオンラインに置き替えることを「失礼」と捉える風潮があり、社会にそれを容認する素地が整っていなかった。

    二つ目はサービスの属人性で、接客業では質の良いサービスが生み出された瞬間にその場で消費され消えてしまうため、ノウハウが蓄積されないということだ。コロナがきっかけとなり、接客をオンラインに置き換えることが社会的に容認される時代が到来し、一つ目の課題解消が実現した。

    それと同時に、オンライン化でデータ蓄積が可能となり、二つ目の課題も質の良いサービスのノウハウをソフトウェアに置き換えてゆくことが実現されはじめるのではないか、と桑野氏は考えたという。

    タブレット画面を通じて店頭の接客を代替するオンライン商談サービスから始まり、担当オペレーターを集約したオンライン接客センターを立ち上げ、急速な需要拡大を背景に2022年9月期第二四半期時点で3拠点、75ブース、スタッフ数約140名を運営中だ。

    そのノウハウを生かしつつ、1年以上の試運転と改良を重ねて開発したシステムが「ビデオコールセンターシステム」と「ONLINX」だ。前者は既に最大顧客であるNTT docomoグループで月間1,2万コール程を受電し、システム改良を続けている。これらの新サービスは「働き方改革」といったキーワードで、日本が抱える中長期的課題の解消として政府が推進してきた領域だ。

    従来は店舗へ赴き、その店舗でのみ対応していた販売員がセンターに集約されることで、あらゆる店舗に来店するお客様への対応が可能となりノウハウも蓄積されていく、「販売員のシェアリングエコノミー」ともいえる。

    コロナ終息後も、同社が提供するサービスのように高い利便性や有効性が認められるオンラインサービスは、対面でのサービスにすべてが戻ることはなく、引き続き活用シーンが拡大するだろう。通信業界だけでなく他業界への今後の展開が期待され、営業手法の確立に注力していくところだ。

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    成長可能性:競合のないこれらのシステムでWeb3.0や「おもてなしテック」へと事業機会を拡げていきたい

    「ONLINX」は、店舗を有し販売員による営業・販売を行う業界での利用を想定したサービスだ。コールセンターシステムで培った基本機能に加えて、外国語同時翻訳や、販売員の知識サポートなどを画面上で実現する独自の機能を兼ね備えている。

    顧客がそのサービスや商品の価値を判断する際に情報量が決め手となる業態、販売員の知識量が成績に影響しやすい業態との相性が良くなるため、不動産や保険、自動車ディーラー、などで活用されることが想定される。

    既に一部の大企業でトライアルによる利用が開始している。また、端末を通じて販売員の接客中のキーワードや表情などがモニターされデータ蓄積が行われる。このデータが質の高い接客をソフトウェア化する際に欠かせない。

    ▼ONLINEXの機能▼

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    「ビデオコールセンターシステム」は、既存のコールセンターシステムにユーザーとのビデオ通話画面が追加されたシステムだ。

    待ち順管理や、通話中の管理者権限による操作など、コールセンターならではの必要機能があり、ビデオ通話機能を追加したシステムは独自開発が必要となる。

    同社のシステムは、専用アプリ不要でWEBブラウザからワンクリックでビデオ通話画面が起動すること、電話ではないため通話料がかからないことからユーザーの利便性も高い。画面があれば情報量が増えるため、コミュニケーションが容易になり応対時間の短縮が可能だ。

    2023年9月期までに500IDの販売を目標としているが、コールセンターを抱える企業ならばいずれどこかのタイミングで導入を検討し置き換わる時期がくると桑野氏は見ている。

    同社のように100席、200席単位でビデオ通話付きのコールセンターシステムを開発してきた競合はおらず、既に稼働しながらシステムの改良を続けている商品力が同社の強みとなることが期待される。

    ▼ビデオコールセンターシステムの機能▼

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    これらの自社で開発したシステムの販売によって、中期経営計画に掲げた業容拡大と収益性の安定が実現される見込みだ。それだけでなく、このシステムは桑野社長が中期経営計画のその先に見通す2つの長期ビジョンの要でもある。

    一つ目は、長期的に「ONLINX」で蓄積したデータをもとに、質の高いサービスという接客・おもてなしをソフトウェア化して他業界にとどまらず、世界へ「おもてなしテック」として輸出していくことだ。システムを用いれば言語の壁をたやすく越えることが可能だ。日本はサービス業の質が高い。「日本の接客:おもてなし」に勝る接客データを蓄積できる国はあるだろうか、そしてその日本で接客データを溜めることをいち早く開始したのが同社だ。日本の高品質な接客データは、言語を変えれば海外輸出できると桑野社長は考える。おもてなしテックは2025年の実装を目標に開発を進めているという。「2025年の大阪万博では、自動運転、自動販売など、あらゆる場面が自動化されるだろう。その際に、ただ無機質な自動化ではなくて、あいさつもあり、提案もありといった少し気の利いたおもてなし付きの自動サービスを実現することを目指したい」と、桑野社長は語ってくれた。

    また、Web3.0での事業機会の創出も急速に進めている。マルチプラットフォームに対してコンテンツを提供すること、イベントを企画運営することなどを想定して事業を立ち上げた。2022年4月に株式会社イーフロンティア(現:株式会社メタライブ)の株式を取得し子会社化したほか、V-tuberプロダクション事業も外から事業譲受し、メタバース内で興行事業、会員事業、物販事業を展開する新規事業を開始した。リアルの延長にあるメタバース内に集まる人々を理解し、事業機会を創出していくにはまずはV-tuberでノウハウを蓄積しつつ、プラットフォームを選ばない自社IPを育成する必要があるとの判断だ。東南アジアといったV-tuberとの相性が良い国で、すでにファンコミュニティを形成しはじめている。同年5月には、イベント開催や動画編集のノウハウを有する2社を株式取得により子会社化し、ライブ&コマース事業を加速させている。メタバース社員総会、採用イベントを実施するサービスも開始した。通信業界ではキャリアショップをオンライン化する検討が進みつつあり、リアル店舗をオンライン化するのであれば、いずれはメタバース内でのショップ開店ができるのではないか、と桑野社長は考えている。提案から販売のクロージングまでをオンライン完結できるノウハウとシステムを提供する同社は強みを発揮できるだろう。

    これらの長期的なビジョンの実現に向けて足りないものを問うと桑野社長はこう語ってくれた。「今の当社には信用力がまだまだ足りていません。研究開発予算、投資余力の確保にはまずは業容を拡大しなきゃいけない。有能な人材や、投資家などにも、もっと注目してもらう必要がある。ただ、ビジョンと構想があることによって、具体的に事業自体を立ち上げれば必要なものは集まってくると思っている。同社はまだまだスタートアップベンチャーで僕自身もアントレプレナーなので、新しいものをどんどん創っていくということが必要、どんどんチャレンジしたい。」 

    同社は、2019年にコンサルティング事業を主業に上場してから、たったの3年でシステムも提供できる会社へと変貌を遂げつつある。この変化対応力をもって、桑野社長が率いる同社がこれからどう成長していくのか期待される。

    Coverage:2022年8月4日

    時価総額:40億3百万円





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    社名
    ピアズ Peers Co.,Ltd.
    本社
    〒105-0003 東京都港区西新橋2-9-1PMO西新橋ビル5F
    電話番号
    03-6811-2211
    代表者
    桑野 隆司
    設立
    2002年6月14日
    資本金
    4億2千万円(2019年6月20日時点)

    事業内容

    イノベーションコンサルティング事業
    デジタル・トランスフォーメーション・デザイン事業
    ヒューマン・インフィニティ・デベロップメント事業


    役員

    代表取締役社長 桑野 隆司
    専務取締役 吉井雅己
    常務取締役 井之坂亮之
    取締役 堂前晋平
    取締役 佐々拓也
    取締役(社外) 藤武寛之
    常勤監査役 二階堂京介
    非常勤監査役(社外) 植村亮仁
    非常勤監査役(社外) 猪野由紀夫

    代表プロフィール

    桑野 隆司のプロフィール画像

    桑野 隆司(くわの たかし)

    1976年京都市生まれ。名古屋商科大学大学院修士号取得。 1976年、京都市生まれ。 学生時代から携帯電話販売の経験を積み、2005年に株式会社ピアズとして事業開始。通信業界のセールスプロモーション事業から適正販売や組織活性化に向けたコンサルティング事業までを手掛ける。 2016年には、環境変化に強い組織づくりと人材マネジメントによる企業の柔軟性とイノベーションを評価され、ベンチャー企業初となる“日本経営品質賞”を受賞する。 2017年には、社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業に贈られる、“ホワイト企業大賞”を受賞する