ユナイトアンドグロウ( 東証GRT:4486)
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公開日:2020.10.27
中堅・中小企業のDXで鍵を握る “コーポレートIT部門”を内側から支援
あらゆる企業に求められているDX。しかし、これを推進する社内の情報システム部門(コーポレートIT)が脆弱な中堅・中小企業は多い。
ユナイトアンドグロウ株式会社は、中堅・中小の成長企業に特化し、その現場での経験が豊富な“コーポレート・エンジニア”をチームで送り込むことで、組織の内側からDX推進を支援するインソーシング事業を展開している。
また、連結対象の子会社による専門特化したセキュリティ・コンサルティング事業もユニークな存在。人材力の増強が柱となる同社のten-Bagger戦略を、代表取締役社長の須田騎一朗氏に聞いた。事業内容:経験豊富なコーポレート・エンジニアが準委任契約で業務を推進
<インソーシング事業>
従業員数50~1,000名の規模で、同社が本社を構える東京都心部に事業所を置くあらゆる業界の中堅・中小企業を対象に、社内向けシステム部門(コーポレートIT)の業務を支援する会員制サービスを提供する。
「情シスのシェアード社員サービス」と名づけている。当該企業のコーポレートITの体制は、50名規模の企業で専任者が1名もしくはゼロ、1,000名規模でも10名未満と脆弱な企業が多い。
同社はそうした会員企業に、ITの専門知識・業界知識を持ち、顧客企業の内部でスムーズに活動できるコミュニケーションスキルに長けた複数のシェアード社員を、準委任契約にて時間単位で送り込み、会員企業が自社の人材だけでは対処できないIT課題の解決を支援する。
コーポレート・エンジニアの職能は、“ITに強いコミュニケーター”として社内各部署を調整しつつ、外部のシステム開発ベンダーやITプロダクトを適切に使いながら、最適なDXの構築・推進を支援することにある。
会員企業のメリットとしては、直接雇用のリスクがゼロになる、スタッフの交代や増減が柔軟にできる、範囲を限定せずに業務を依頼できる、プロダクトや外注先の選定に関して中立的で実践的な意見が得られるといったことがある。
2020年11月現在、150名強のシェアード社員が約200社の会員企業に対応している。
<セキュリティ事業>
連結子会社のfjコンサルティング株式会社が手がける。クレジットカードの会員情報の保護を目的とし、国際ペイメントブランド5社(アメリカンエクスプレス、Discover、JCB、マスターカード、VISA)が共同で策定したカード情報セキュリティの国際統一基準であるPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)の準拠および認証取得のためのコンサルティングサービスをはじめ、セキュリティに関するインシデント対応支援サービスなどを提供している。業績動向:2ケタ成長が続き、コロナの影響も軽微
連結での直近4年間の売上高は、11億7,566万円(2017年12月期)、13億8,834億円(2018年12月期)、16億2,435億円(2019年12月期)、18億2,600万円(2020年12月期見込み)と、112~118%の成長で推移。
同じく経常利益は、1億383万円(2017年12月期)、1億7,626万円(2018年12月期)、1億9,128万円(2019年12月期)、2億1,800万円(2020年12月期見込み)と、108~169%の成長で推移している。
なお、新型コロナウィルス感染拡大の影響として、一部会員企業の入れ替わりやテレワーク体制への移行で業績が下押しされたものの、既存会員・新規会員の取引規模拡大によって、業績全体への影響は軽微となっている。事業戦略:シェアード社員の強固な繋がりで学び合う風土が強み
<インソーシング事業>
企業の情報システムは、事業内容や従業員のITリテラシーのレベルなどに応じて、個別最適で導入する必要がある。
長期雇用を前提としてきた日本企業には、“すり合わせ”や“暗黙知”に代表される各企業独自の業務推進モデルがあり、標準的な業務のしくみを成立させづらい環境があるといえる。
したがって、DXも各社の業種・業態や風土に応じた仕組みを設計しなければならない。同社のシェアード社員という“商品”を営業するのは自分自身で、営業部門が売っているわけではない。
また、インソーシング事業の構造として、シェアード社員は稼働率を高くキープすることが望ましく、契約期間のインターバルにおいては、次の案件先を選り好みせず確保する必要がある。
このため、シェアード社員はあらゆる会員企業のニーズに対応できる普遍的なITの知識や、あらゆる企業の社風に溶け込める柔軟性が求められる。
ここが、身に着けた技術が生かせる業務を選ぶ傾向のある一般的なエンジニアと根本的に異なる部分だ。
こうした職能を養う一つの柱として、会員企業に分散しているシェアード社員を繋ぐための組織上の施策や、ITによるコミュニケーションシステムを数多く機能させている。
「困ったことや知りたいことを質問すると、仲間から多種多様なアドバイスが即座に返ってくる。その根本には、人間的な繋がりがある」と須田氏は言う。
シェアード社員は、顧客のためのチームとしての「スクラム」、会社運営にフォーカスする「ユニット」、個人の成長を助け合う「ボンド」という3つのグループに属する。
「この『ボンド』のメンバーはランダムな組み合せで、比較的長期でグループが形成され、月1回程度、仕事や家族や個人など様々な話を交換する中で、つながりを深めながら学び合うという活動です。
守秘義務など会話のルールがあって、アルコールなしでも本音で話し合えるから、メンバーの間に強固な紐帯ができるのです。
退職した社員も一定期間はボンドに参加できる、などのルールもあります」(須田氏)こうして社員が“繋がりと成長”を目指すことが事業の根本であり、社名にもしている戦略である。
なお、シェアード社員はITスキル、ビジネススキル、社員力の3つの評価軸によってそれぞれ10段階で評価し、会員企業の課題の難易度に応じたマッチングを提案している。
評価は3カ月ごとに見直すことで自己成長を促している。
<セキュリティ事業>
fjコンサルティング株式会社代表取締役CEOの瀬田陽介氏は、PCI DSSの公認監査機関の代表、日本初のPCI DSS認定フォレンジック機関のボードメンバーを経て、fjコンサルティングを設立した、PCI DSSやキャッシュレス・ペイメント業界のプロフェッショナル。
また、取締役COOの大澤志津氏は、ISMS(Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム)審査員としてISO27001認証審査に携わった後、セキュリティコンサルタントとして活躍した経歴を持つ。こうしたトップレベルのプロフェッショナルの存在が、同社の最大の強みといえる。成長可能性:シェアード社員の増強に最大の資源を振り向ける
<インソーシング事業>
同事業が対象とする50~1,000名の企業は全国に約12万社あるとされ、同社のシェアは0.1%という状況だ。
あらゆる企業にIT化・DXが必要であるとすれば、市場は広大であるといえる。シェアード社員の人数と質の増強が、本事業の最大の成長戦略といえる。
「当社の生命線であるので、最大の時間をかけ、丁寧に行っている。フラットな組織風土、つながりの深い人間関係づくりなどは、なかなかできることではないだろう」と須田氏。
当面の課題は、シェアード社員を1,000名体制にすること。そのための一つの方策として、ゼネラルサービスであるインソーシング事業に加えて、特化型サービス事業を打ち出す。
その一つとして既存のセキュリティ事業を位置付けるとともに、新たな特化型サービスの準備もすすめている。特化型事業は、収益軸を増やすことに加え、専門特化を志向する若手社員の受け皿とすることが最大の狙い。
「この切り口で採用に弾みをつけ、段階的にゼネラルなシェアード社員に育成していく」と須田氏は目論見を話す。
<セキュリティ事業>
PCI DSSはバージョンアップが予定されており、その際の需要急増が見込まれている。
加えて、サイバーテロや情報セキュリティへの対応は複雑化・高度化が進む一方であり、同事業へのフォローウィンドは吹き続けることが予測される。Coverage:2020年10月27日
時価総額:60億21百万円
当記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また何らかの保証・約束をするものではありません。
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IRニュース
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会社情報
- 社名
- ユナイトアンドグロウ Unite and Grow Inc.
- 本社
- 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-3 新お茶の水ビルディング3階
- 電話番号
- 03-5577-2091
- 代表者
- 須田 騎一朗
- 設立
- 2005年2月23日
- 資本金
- 3億475万円
事業内容
情シス部門のタイムシェア/シェアード社員
会員制Q&Aサービス/Kikzo
情シスのオープンナレッジ/Syszo
サイバーセキュリティ/fjコンサルティング(株)
役員
代表取締役社長 須田 騎一朗
取締役 岡 美恵子
取締役 高井 庸一
取締役(社外)土居 明史
常勤監査役(社外)肥後 一雄
監査役(社外)藤森 肇
監査役(社外)依田 修一
代表プロフィール
須田 騎一朗(すだきいちろう)
1966年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部(中退)を経て、出版社、マーケティングリサーチ会社、インターネットサービスプロバイダ、広告代理店で経験を積む。1997年、株式会社キューアンドエー(現社名 キューアンドエー株式会社)を設立して代表取締役に就任。2005年、当社(旧社名 株式会社テクネット)を設立して代表取締役に就任。2019年12月に東証マザーズに上場。