エニグモ( 東証PRM:3665)

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エニグモ( 東証PRM:3665)

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    公開日:2021.07.28

    専門性の高いマーケットプレイス『BUYMA』でグローバルな新商流をつくり、高成長を期す

    「パーソナルショッパー」と呼ばれる専門性の高い出品者が、世界中の話題のアイテムを紹介・販売できる“Specialty”Marketplaceの『BUYMA(バイマ)』。

    この画期的なビジネスモデルでレア物や発売直後のブランド品などをほぼ現地価格で購入できる点が受け、総取扱高が5年で1.9倍と順調に成長を続けている。

    その要因をはじめ、英語版によるグローバル展開やカテゴリー展開といったten-Bagger戦略を、運営企業である株式会社エニグモの代表取締役CEOの須田将啓氏に聞いた。

    事業内容:専門性の高い“Specialty”Marketplaceを運営

    <『BUYMA』事業>
    ファッションアイテムを中心に、家具や生活雑貨、美容などのライフスタイル全般に関わる1万5,100ブランド以上・623万アイテム以上の幅広い品ぞろえを誇る、専門性の高い“Specialty”Marketplace『BUYMA』を運営。

    <『BUYMA TRAVEL』事業>
    「旅を自由に過ごしたい。ありきたりじゃない旅をしたい」という人のために、世界各地のプライベートガイドがオーダーメードの旅行プランを作成し、日本語でサポートするツアーを提供する“Specialty”Marketplace『BUYMA TRAVEL』を運営。

    <『STYLE HAUS』事業>
    ファッションやライフスタイル、コスメの世界中のリアルなトレンドを発信するファッションメディア『STYLE HAUS』を運営

    業績動向:会員数、総取扱高とともに売上、営業利益も順調な伸び

    直近5年間の売上高は、70億7,700万円(2021年1月期)、60億9,700万円(2020年1月期)、52億8,300万円(2019年1月期)、44億9,200万円(2018年1月期)、41億4,700万円(2017年1月期)。

    直近3年間は115%以上伸ばしている。同じく営業利益は、30億3,300万円(2021年1月期)、26億9,700万円(2020年1月期)、21億4,400万円(2019年1月期)、15億7,400万円(2018年1月期)、17億6,800万円(2017年1月期)。

    直近3年間は、125%前後の伸びだ。また、2021年1月期の総取扱高628億円は5年前の189.0%、同じく会員数の858万5,119人は214.7%の伸びである。

    👉【関連記事を見る】3665 エニグモの業績について考察してみた

    事業戦略:豊富な品揃えと低価格を実現する唯一のビジネスモデル

    同社の事業コンセプトは、“世界を変える、新しい流れを。”とのミッションのもと、インターネットを通じて法人や個人の垣根を超越し、誰もがそれぞれの多様な専門性を生かすことで新たな価値を創出する「“Specialty”Marketplace」を展開すること。

    『BUYMA』は、それを体現する主力サービスである。

    『BUYMA』に商品を出品するのは、「パーソナルショッパー」と呼ばれる専門性の高いプロフェッショナル。

    主に海外在住の日本人で、同社が審査し登録する。2021年1月現在、世界164カ国に17万人以上が存在している。

    「2005年2月に“グローバル・ショッピング・コミュニティ”というコンセプトでスタートした時点では、海外赴任している日本人ビジネスマンの奥様といった立場の方がアルバイト感覚で始め、実力をつけてプロ化していくという流れが中心でした。

    そのようにして徐々に品揃えが拡充し購入会員が増えるに従って、徐々に商社や卸業などの法人が参入してきています。

    いわば、C to CとB to Cがブレンドされたマーケットプレイスになっています。

    このモデルによるマーケットプレイスとしては、世界唯一の存在です」と須田氏は説明する。

    C to Cとしてスタートした時点で、個人の出品者が最も不安を感じる“入金”リスクはエスクロー(取引保全)サービスの導入で、“在庫”リスクは「受注後の買い付けOK」で解消した。

    この“在庫不要”により、出品者は売れ行きの読めない海外での発売直後の商品やレア物、高額なブランド品、マニアックな商品なども安心して出品できるようになり、品揃えの豊富さをもたらしている。

    また、世界中のパーソナルショッパーが現地で商品を仕入れることで、世界中に散在する在庫を仮想的に統合することができる。

    これにより、従来の店頭での在庫切れや入荷困難で諦めていた買い物の実現可能性を高めている。

    価格面においても、無店舗かつ中間業者を介さないため、現地価格に近い金額で提供でき、格安で購入できるケースが少なくない。

    さらに、会員がパーソナルショッパーに欲しいアイテムを依頼できる「リクエスト機能」や全ての取引を対象とする「無料鑑定サービス」、一定の条件を満たした場合に返品を受け付けたり、紛失補償などが受けられる有料の「あんしんプラス」、中古品の買取・委託販売サービス「ALL-IN」といった様々なサービスも提供。

    パーソナルショッパーに対しては、指定配送事業者を使えば必要事項を印字済みの送り状を用意して玄関先まで商品を回収に来るサービスの提供も始めている。

    成長可能性:カテゴリーおよびエリアの拡大とデータ利活用で成長を図る

    同社が策定している主要な成長戦略は、①カテゴリー・エクスパンション、②エリア・エクスパンション、③データドリブン・マーケティングの3点だ。

    ①カテゴリー・エクスパンション
    2019年8月より『BUYMA TRAVEL』を独立サイトとしてリリースし、ファッション系以外のカテゴリー展開を始めている。

    「現在はコロナ禍でストップ状態にあるが、落ち着いたら巻き返しを図る」と須田氏。

    そして、目下『BUYMA』におけるインテリア(家具・雑貨・ファブリックなど)を扱う「ライフスタイル」カテゴリーが前年比約140%と急伸している。

    インテリア類の国内市場規模は1兆7,428億円(経済産業省調べ)あり、EC化率は23.3%、『BUYMA』のシェアは0.08%という状況にある。

    今後の成長余地は大きいと言える。「今後の成長を加速させるために、ライフスタイルカテゴリーへのプロモーションや品揃え強化に集中的に投資を行います。そして、『BUYMA TRAVEL』に続く『BUYMA LIFESTYLE』といった新カテゴリーの別サイトを切り出し、専任体制を整えて独自の成長戦略を図っていきます」と須田氏は力を込める。

    ②エリア・エクスパンション
    2013年に韓国に現地法人であるエニグモコリアを設立し、韓国語版の『BUYMA KOREA』をリリースし海外展開を図る。

    そして、2015年に英語版の『BUYMA』をリリースし、グローバルの『BUYMA』として韓国語版を吸収した。

    この英語版の2021年度の取扱高前年比は、第2四半期136%、第3四半期247%、第4四半期316%と急伸している。

    「北米を中心とするユーザーに対するアンケート調査で、『ラグジュアリーアイテムに強い』という回答がダントツの60%を占めました。事実、購入単価は日本語版の3.6倍と圧倒的に高く、北米の富裕層を中心に『どこよりもラグジュアリーの品揃えがいい』と利用が拡大しています」と須田氏は説明する。

    このように英語版の認知度が高まるとともに、米国人など日本人以外のパーソナルショッパーが増え始めており、販売シェアは2021年7月の段階で10%近く占めつつある。

    「パーソナルショッパーの外国人比率が増えれば、真のグローバルなマーケットプレイスになると言える」と須田氏は意気込む。


    まずは北米市場を開拓するプロモーションに集中的に投資を行い、順次英語圏への拡大を図る構えだ。


    ③データドリブン・マーケティング
    『BUYMA』においては、2021年1月期において年間286万件強の取引件数実績を挙げている。

    毎日8,000件弱の取り引きが行われていることになり、その膨大なデータが同社に蓄積されている。

    このデータを解析し、例えば特定の会員の購入履歴から好みのブランドに近い、別の知られていないブランドの商品をレコメンドしたり、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を割り出して本人へのプロモーションを最適化するといった会員に対するマーケティングの精緻化や、商品別の需要予測を分析してパーソナルショッパーに事前仕入を促し売り逃しを防ぐといった販売力の強化に繋げる。

    「その点で、私は大学院修士課程でコンピュータサイエンスを専攻しましたし、私以外の2名の役員はどちらも理工系です。また、部長も芸大出身の1名を除いて全員が理工系ということもあり、自らデータ分析ができるスキルを持つ者が多くを占めています。そのように、データドリブンマインドが当社のカルチャーの一つとなっているのは強みであると自負しています」(須田氏)

    2019年度の国内のファッション・アパレル市場規模は9兆1,700億円ほどで、うちECは1兆9,100億円(*1)・EC化率は13.8%だ。同社の総取扱高は624億円で、ファッションECにおけるシェアは3.2%に過ぎない。

    米国のファッション市場規模は52兆5,800億円ほどで、うちECは11兆2,000億円(*2)ほど、EC化率は21.3%(*3)となっている。同社の成長可能性という点では、このファッションEC市場における成長余地の大きさが重要なファクターと言えるだろう。

    *1:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」
    *2:The Statista Global Consumer Survey
    *3:Digital Commerce 360’s new 2020 Online Apparel Report

    Coverage:2021年7月28日

    時価総額:591億44百万円





    当記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また何らかの保証・約束をするものではありません。
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  • 会社情報

    社名
    エニグモ Enigmo Inc.
    本社
    〒107-0052 東京都港区赤坂8-1-22 NMF青山一丁目ビル 6階
    電話番号
    03-5775-4760
    代表者
    須田将啓
    設立
    2004年2月10日
    資本金
    381百万円

    事業内容

    インターネットビジネスの企画・開発・運営


    役員

    代表取締役 最高経営責任者 須田将啓
    取締役 最高執行責任者 安藤英男
    取締役 金田洋一
    社外取締役 小田島伸至
    社外取締役 谷村格
    常勤監査役 雨宮哲二
    監査役 西本強
    監査役 江戸川泰路

    代表プロフィール

    須田将啓のプロフィール画像

    須田将啓(すだ しょうけい)

    すだ・しょうけい。1974年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。ビジネスに必要なマーケティング力を身につけるため、株式会社博報堂に就職。2004年、同僚の田中禎人氏とともに株式会社エニグモを設立し、共同最高経営責任者に就任。