ピーバンドットコム( 東証PRM:3559)

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社長インタビュー記事

ピーバンドットコム( 東証PRM:3559)

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    公開日:2021.12.27

    更新日:2023.04.11

    国内シェアNo.1のプリント基板ECを運営。新規事業の完成品EMSで高成長を目指す

    あらゆる電子機器に用いられている、プリント基板。ピーバンドットコムは、プリント基板の設計から製造、実装、小ロット量産までをECサイト上にてワンストップで提供している、国内唯一の存在である。

    これによって、従来の対面販売における手間を劇的に削減し、納期の短縮化や独自の工夫によるコストダウンを実現。

    約2万5,000社の顧客を擁し、ECとして国内トップシェアを誇る。そして、2019年からは電子機器のEMSを手がけるECの新規事業に乗り出した。

    既存の顧客層をリードとして、より高単価・高付加価値のビジネスを軌道に乗せることで、大幅な成長を狙っている。

    同社は、このほど“2030年のありたい姿”の実現を目指し、中期経営計画を初めて公表。成長戦略を明確に打ち出した。そんな同社のten-Bagger戦略を、代表取締役の田坂正樹氏に聞いた。

    事業内容:ハードウェア製作に向けた諸サービスを提供する『GUGENプラットフォーム』

    <Eコマース事業>
    ハードウェア製作のための基礎環境として利便性の高い諸サービスを提供する『GUGENプラットフォーム』を運営している。

    その中心は、製造・製品化のマーケットプレイス『P板.com』。家電、スマートフォン、自動車、医療機器、ロボット、さらには人工衛星など、あらゆる電子機器の基幹部品であるプリント基板の設計から、製造、チップやコンデンサーなどの実装、数千個程度までの小ロット量産、ハーネス加工、筐体・パーツ製造に至るまでの全工程をワンストップで提供するECサイトだ。

    そのほか、日本最大級のオリジナルハードウェアコンテストである『GUGENコンテスト』、エンジニア向け技術情報サイト『@ele』、ハードウェア開発のためのビジネスマッチングサイト『GUGEN Crowd』を運営している。

    業績動向:コロナ禍の影響から一気に反転攻勢をかける

    直近5年間の売上高は、約18億3,000万円(2017年3月期)、約19億9,500万円(2018年3月期)、約21億0,600万円(2019年3月期)、約21億3,300万円(2020年3月期)と101~109%の成長を続けてきた。

    2021年3月期は、約19億8,900万円(2021年3月期)と新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界的な半導体などの電子部品不足を主要因として減収となっている。

    同じく経常利益は、約2億2,000万円(2017年3月期)、約2億9,000万円(2018年3月期)、約3億円(2019年3月期)、約2億3,200万円(2020年3月期)、約2億900万円(2021年3月期)。

    減益は、2019年12月に東証一部への市場変更に伴う費用の発生が主要因。2021年3月期はコロナ禍の半導体などの電子部品不足によって調達、生産に係る所要時間が長期化している影響が大きい。

    「コア事業であるeコマースの「P板.com」では、企業のDX化、IoT化の流れで市場ニーズは回復しています。しかし、半導体などの電子部品供給の混乱と不足で、EMS事業が想定よりも伸び悩み、2021年11月に2022年3月期の業績予想を下方修正しました。世界的な兆候であり、不可抗力の部分はありますが、部品調達力の向上が今後のわたしたちの重要な経営課題の一つであると考えています。全体的には業績は上向いており、昨年度の決算数字が底であるのは間違いありません。ここから一気に反転し、攻勢をかけていきます」と田坂氏は意気込む。

    事業戦略:プリント基板の発注コストを劇的に軽減する『P板.com』

    電子機器の開発工程では、数回にわたる試作が繰り返され、そのたびにプリント基板が必要となる。

    その場合、基本的に数個あれば済む。また、医療機器や放送機材、人工衛星のように何十万台と量産されるものではない電子機器の領域がある。。

    従来、技術者がこうした小ロット製品のプリント基板をつくってくれる工場を探すのは一苦労であった。探し当てることができても、工場に赴いて仕様を説明し、見積もりを取って価格交渉を行う手間も要していた。

    同社はここにビジネスチャンスを見出し、24時間365日いつでも簡単に発注でき、対面販売における一連の手間を劇的に削減したECサイト『P板.com』をリリースした。

    『P板.com』は、国内外の約30社の契約工場をネットワークしている。ユーザーが同サイト上でプリント基板の仕様を指定すると、瞬時に適した工場を自動選定して、最短1日から4通りの納期コースごとの見積もりを提示する。

    ユーザーは提示されたコースを選択し、設計図をアップロードするだけでプリント基板がオーダーできる。サービス品質の高さも特筆ものだ。

    設計図の配線が近すぎる場合、ショートしやすいといった問題までチェックしている。製造したプリント基板の納期遵守率は10年連続で99%超えを達成するという驚異的な高さだ。

    「海外工場からの納品が台風などで欠航する場合、民間便によるハンドキャリーで運ぶこともある」という手厚さだ。

    一方、価格面の改革効果も大きい。従来、電子機器開発のネックとなっていたことに、試作のたびにプリント基板製造のイニシャルコストが発生するという問題があった。

    そこで同社は、製造資材であるフィルムや版を保管せず、効率的な異種面付工法によりイニシャル費用を完全無料化し、製造費用のおよそ80%ものコストカットを実現させている。

    こうしたベネフィットが評価され、ユーザー数は約2万5,000社・約6万人に及んでいる。ユーザーは日本を代表する大手メーカーやハードウェアベンチャー、研究所、大学や高専、さらには個人事業までと幅広い。

    契約工場によるファブレス生産体制、100%オーダーメードによる在庫ゼロ、システム化の徹底による従業員数30名強の運営体制という“持たざる経営”で、従業員1名当たりの営業利益が上場企業平均の5~7倍という極めて高い生産性も強みだ。

    「高収益で福利厚生や働きやすい環境を充実させていることで定着率が高まり、専門知識の習熟度向上に繋がるという正の循環ができています。また、収益は新規事業などの積極的な先行投資にも回せています」(田坂氏)

    成長可能性:外部要因・内部要因の両面で潤沢なポテンシャルと成長戦略

    外部の環境要因と、内部の事業開発要因の双方において、大きな成長ポテンシャルが同社にはある。環境要因としては、電子機器市場の広がりだ。

    例えば、EVやIoT、ウェアラブル、ロボティクス、宇宙ビジネスなど。これら全てに必要となる電子機器には、プリント基板が使われることになる。また、EC化の可能性も大きい。国内のプリント基板の市場は約1兆3,600億円の規模があるが、うちECは30億円程度。EC化率は0.3%に満たない。

    うち約20億円を占める同社は圧倒的なトップシェアであるが、市場全体でのシェアはわずか0.14%である。

    『P板.com』のようなワンストップでの全機能を備えているサイトはほかになく、市場全体における同社のシェア拡大の可能性は極めて潤沢といえる。内部の事業開発要因としてまず挙げられるのは、新規事業であるEMSへの展開だ。

    プリント基板という部品にとどまらず、電子機器の完成品の製造における見積もりから納品までをECによる利便性を活用しながら一連の手続きを行う画期的なビジネスである。

    2019年12月にスタートし、現在までユーザーの大半は小ロット量産を求めるハードウェアベンチャーが占めている。

    「現在は、EMS専門スタッフが完成品納品までをサポートし、お客様のニーズを集約しながらエンジニアリングネットワークの構築とシステム開発を進めています。海外含め、EC上で完結するEMSはほかに存在していないと思います。EMSの工程においてECで完結できるサービスの幅を広げていくことにより、当社事業の独自性をさらに高めることができます。1万台程度までの小ロット量産に徹していきますが、製造を引き受ける品目は限定していません。お客様のニーズを受け、生産能力やキャパシティーを備える契約工場を整備していくという考え方で事業を広げていきます」と田坂氏は説明する。

    プリント基板のような部品と違い、完成品の単価は桁違いで売上拡大に寄与する効果は非常に大きいといえる。

    さらに、AIテクノロジーにも力を入れており、マーケティングオートメーションやビッグデータを活用した部品解析などにより、受発注業務のさらなる効率化を実現させていく。

    顧客開拓の面では、年間を通した電子工作・基板設計関連セミナーでの技術者との繋がりや、『GUGENコンテスト』における技術者志望の高専生、大学生との繋がりづくりが挙げられる。

    『GUGENコンテスト』への出場が一部の高専の課題として指定されているなど、教育現場に浸透。中長期的な観点での将来のユーザー育成にも抜かりはない。

    そんな同社は、このほど、中期経営計画を初めて公表した。その理由を、田坂氏は次のように説明する。

    「きっかけは東証の市場再編で、当社はプライム市場への参入を目指すことにしました。また、SDGsの広がりなど最近の経営環境の変化を見ると、より長期的な社会の変化を捉えた経営が必要と感じ、投資家の皆さまに当社の中長期的な経営ビジョンを知っていただく必要性を感じたことによります」

    同社が目指すビジョンは「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービスの提供-GUGENプラットフォームの構築-」である。

    中期経営計画は、2023年3月期から2031年3月期にかけた9年間を3期ごとに分け、第1次から第3次まで続けるという構成。

    第1期は、「成長に向けての基盤整備」が基本コンセプト。プリント基板事業の諸サービスのクロスセルによる客単価アップやEMS事業の顧客層の拡大などによる既存事業の強化、および第3の事業の柱の種まきを行い、飛躍に向けた基盤構築を行う。

    「第3の事業は、メーカーや商社などの滞留在庫部品の可視化と流通を行うビジネスを検討しています」(田坂氏)。

    第2期は、第3の事業をスタートさせるとともに、「GUGENプラットフォーム」の構築を加速。さらに、M&Aを含めた戦略的事業投資も加速させる。

    第3期は、EMS事業に付随するシステム開発の事業展開やサステナビリティの課題を解決する製品・サービスの具現化を行うとともに、M&Aによる非連続的な事業拡大を目指す。

    第2・第3期を通じて、売上高成長率年10%を定着させるとともに、一貫して少数精鋭体制を維持する。 「こうして“誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できる”世界を実現し、活力ある経済と希望のある社会づくりに貢献したいと考えています」と田坂氏は結んだ。

    Coverage:2021年12月27日

    時価総額:23億57百万円





    当記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また何らかの保証・約束をするものではありません。
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  • 会社情報

    社名
    ピーバンドットコム p-ban.com Corp
    本社
    〒102-0076 東京都千代田区五番町14 五番町光ビル4F
    電話番号
    03-3261-3431
    代表者
    田坂 正樹
    設立
    2002年04月
    資本金
    1億7,551万円

    事業内容

    プリント基板のEコマースサイト P板.com(ピーバンドットコム)を中核事業とした、”GUGENプラットフォーム”の運営


    役員

    代表取締役 田坂 正樹
    取締役COO 後藤 康進
    取締役CFO 上田 直也
    取締役監査等委員 赤崎 鉄郎(常 勤)
    取締役監査等委員 櫟木 一男(非常勤)
    取締役監査等委員 鶴 英将(非常勤)

    代表プロフィール

    田坂 正樹のプロフィール画像

    田坂 正樹(たさか まさき)

    1971年 東京都日野市生まれ。 1995年 多摩大学経営情報学部卒業 1995年 株式会社ミスミ(現:株式会社ミスミグループ本社)入社 2000年 株式会社ブレイク・フィールド社 取締役就任 2002年 株式会社インフロー(2012年、株式会社ピーバンドットコムに社名変更)設立 代表取締役就任 2017年3月 東証マザーズに株式上場 2019年12月 東証一部に株式上場