クックビズ株式会社( 東証GRT:6558)

next10bagger HOME

社長インタビュー記事

クックビズ株式会社( 東証GRT:6558)

  • Next ten-Bagger レポート
  • IR情報・業績ハイライト
  • 企業情報・代表プロフィール
  •   

    公開日:2022.07.06

    飲食業界特化型人材サービスのオンリーワン企業が、食ビジネスの変革や食産業の再成長を循環させるプレイヤーへ変革することに挑戦しはじめた

    飲食業界特化型の人材紹介事業で10年以上の実績を持ち、求人広告・スカウト等の人材関連サービスを総合的に提供できるオンリーワン企業。

    アフターコロナによる飲食業界の人材需要急増といった外部環境に加えて、営業体制の変更や新サービスへの旺盛な引き合いにより業績のV字回復が見込まれる。さらに、食ビジネスにおける新たな業態開発や事業再生に取り組む新規事業を打ち出した。

    上場から5年、“新たな事業を作り出す”ことにもう一度挑戦しようと燃える、代表取締役社長の藪ノ賢次氏にその胸の内を聞いた。

    事業内容:人材支援領域、経営支援領域、事業再生領域の3つの領域にビジネスを再編

    <人材支援領域>
    人材紹介、求人広告、スカウトの3つの主力サービスと研修等(その他)で展開してきた既存事業領域。2021年11月期、それぞれの構成比は52.0%、22.9%、24.2%、0.8%であった。飲食業界向けの人材サービスとして人材紹介、求人広告、スカウトの3つすべてを同社と同じ規模で展開する競合企業はない。

    8,300社を超える取引先企業には、カフェ・ファストフードから居酒屋・レストランなど幅広い飲食業界、ホテル・ブライダル等のホスピタリティ産業、病院・給食などの集団調理まで多種多様な顧客を抱える。

    飲食業界そのものが新型コロナウイルスの影響を大きく受けたため、2期連続赤字となった。営業体制をサービス別・エリア制からサービスの垣根を取り除いた顧客別に改め、社内の構造転換を完了、新たに開始した採用総合パッケージも2022年11月期の第1四半期に既に大型受注が2件決まるなど、2022年11月期は黒字化の目処がたっている。

    <経営支援領域>
    2022年5月に打ち出した新事業の一つ。飲食店の業態展開を支援していくことを検討中。人材支援領域事業のノウハウから、時流に沿った業態を見極め、新業態の開発を試みるブランドとパートナーシップを活用し、人材確保・店舗OMO・業務DX等を総合的に一括して提供支援する見込み。

    <事業再生領域>
    経営支援領域と同時に打ち出したもう一つの新事業。新規事業の公表とともに2022年5月26日付で株式会社久一米田商店との民事再生支援に関するスポンサー契約締結を公表している。

    北海道で帆立を取り扱う水産加工事業者で、負債のみを切り離した後の新会社の株式100%を同年10月に取得予定。「付加価値の高い商品を有する」企業や店舗に限定し、飲食業界にこだわらず、「食ビジネス」であれば今後も幅広く様々な事業・財務支援を検討する。

    業績動向:コロナ影響による最悪期は脱却、V字回復を見込む

    2017年11月のマザーズ上場(現在は東証グロース)後、2年後には新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受け、売上高・利益ともに大幅に悪化した。

    17年11月期から5期の業績は、売上高が2,066百万円、2,503百万円、2,973百万円、1,445百万円、1,035百万円、営業損益が266百万円、132百万円、226百万円、▲615百万円、▲338百万円と、コロナの影響をうけるまで堅調に業容拡大していたが、2020年11月期以降の悪化が見て取れる。

    しかし、コロナ禍の最悪期は既に脱し、2022年11月期に向けて6月には上方修正も公表し、増収増益で黒字転換する見込み。

    上場後、売上高の伸びに反して営業利益が伸び悩んだのは、上場費用がかさんだことや、人件費や広告費を積極投資してきたためだ。コロナ以後、あらゆる費用を見直し、人員を最適化、収益体質となったことで2020年11期同様の売上高水準だが、利益を確保できる見込みだ。

    事業戦略:飲食業界の最大の課題「即戦力の採用」に対して、10年以上積み上げてきたユーザーのネットワークで存在感を発揮

    コロナ以後はどの業界でも経験者・即戦力の採用ニーズが高まっている、飲食業界も例外ではない。同社は飲食業界特化型の人材サービスとして、経験者を中心に約21万人のユーザーへアクセスが可能だ。

    外食産業を中心に急速に需要が高まり客足の戻る飲食業界だが、営業の再開、新規出店、新業態への転換などいずれの戦略においてもまずは現場従業員の確保が課題となる。構造的な日本の労働人口不足もあり、コロナ以前から現場の人手不足はあったが、現在は各社が一斉に営業再開する中で、以前にも増して人材需給はひっ迫している。そのような環境で21万人もの経験者を中心としたユーザーを抱えている優位性は高い。

    同社がこのようなユーザー層を形成できたのにはいくつかの理由がある。まず初めに、先行者メリットだ。定着率が低い業界のため、同社サービスを通じて転職を経験し、満足した人材は、数年後に再び同社サービスへ戻ってくる、というサイクルがある。

    転職を重ねて経験を積み、リピーターユーザーの単価が上昇することで、他社比で1.2~1.8倍の高単価な求人マッチングに成功してきた。そしてもう一つの強みは、同社のサービスが人材紹介、求人広告、スカウトの3つをすべてラインナップしていることにより、ユーザーも顧客企業も3つのサービス内を回遊することだ。接点が増えることによりユーザー、顧客との関係も密になる。

    更にここに来て、採用総合パッケージという新サービスを導入し、官公庁及び補助金事業受託事業者からの業務委託、国内大手ファストフードチェーンの正社員大量採用代行といった大型案件の受注が既に決まっている。

    本サービスは、準委任型で顧客企業の人材採用関連業務を総合的に支援するサービスだ。例えば、自社サービスにとどまらず、他社求人媒体の選定やディレクション業務、書類選考や一次面接の採用業務代行等のBPO的な業務支援も提供する。

    このサービスが実現した背景には、コロナ後の人員の最適化がある。従来のエリア毎、サービス別の営業体制では、自社内で3つのサービス同士が、ユーザーもクライアントも取り合う事態が生じていた。コロナ禍で、業務がオンライン化したことにより、エリアにこだわらない人材配置が可能となり、顧客別に社内で専任チームを抱え、1つの営業窓口から3つのサービスを横断的に提案できるようになった。

    「これだけ人がいないとメディアに掲載しても応募がないため、人を実際に動かせないと商売にならない。ITも活用するが、求人広告媒体だけでなくキャリアカウンセラーなどの人力も含めて、最後マッチングさせるところまで支援が可能な弊社の強みがでてくるだろう」と藪ノ社長は自信をのぞかせた。

    BPO的な案件が増えることは、同社の収益安定にも貢献するとみられ、今後の業績寄与が期待される。

    成長可能性:人材支援領域の着実な成長、その先に目指す姿は「食ビジネスの変革を支援する」企業となること

    人材支援領域が同社の今後の成長を担う主軸ではあるが、注目したいのはそれだけではない。2022年5月に「経営支援領域」「事業再生領域」と冠した2つの新事業は同社の事業領域を拡大し、中長期的な成長を支えることになるだろう。

    双方に共通して言えることは、既存事業の中で構築してきた同社の強みが生かされる、競合優位性のある事業になるだろう、ということだ。

    「食ビジネスの変革を支援する」と同社が表現したその2つの事業は、資金、人材、情報を提供し、経営に参画することでパートナーと共に食ビジネスを盛り上げていく事業、まるで食ビジネスにおける総合商社のような存在になることを意味する。

    経営支援領域では、既存ブランドが新たな業態を展開する際に、パートナーシップを組むことを検討している。ここで活かされる同社の強みは2つだ。

    まずは、展開の要となる人材の確保を同社であれば支援できることだ。次に、時流に沿った最適な業態を見極め、経営判断に必要となる情報を提供できる情報ネットワークだ。

    同社だからこそ、その業態に合った最適な不動産やDXツール、そして人材に関する情報といった経営の根幹となる情報・事業者を提案することが可能だ。「人材事業と両輪でお客様と一緒にブランドを育ていく」と藪ノ社長は語る。

    事業再生領域では、既に第一号案件が公表された。北海道でホタテを主に扱う水産加工事業者とのスポンサー契約には、2020年11月から同社へ参画していた事業再生のプロ、餌取 達彦 氏が対応に当たっている。

    この事業は、付加価値の高い事業や商品を有する企業・店舗に対象を絞り、食ビジネス事業者が抱える事業継続の経営課題を同社が解決することを目指している。同社はこれまでたくさんの新規事業を立ち上げたものの、祖業の他に花開かなかった経験を振り返り、藪ノ社長は次のような課題意識を語ってくれた。

    「事業を0から1にすることはとても難しい。1から10にすることは割とどうにかできるが、ゼロイチ人材はなかなかいない。だから新事業が出てこないし、新事業がヒットしなかったのはニーズや客が不在だったから。

    でもホタテというコンテンツは、もう何十年も商売してきて顧客から必要とされつづけている。事業が軌道にのった後のEXITも選択肢としてはあるが、例えば同社の人材支援事業で支援してきた給食事業者などの非飲食事業のお客様にまとまった量の販売が可能になるかもしれない。

    またはDtoCや販促、といった新たなケイパビリティの獲得にもなり得るため、新規事業と言ってもいいのではないか。だから、この会社をうまく事業再生してお化粧して売り抜けようなんてことは考えていなくて、むしろ新規事業を立ち上げる人材育成の箱になればいいと期待している。」といった展望を語ってくれた。まさに、食ビジネスにおいて、資金を入れ、人を育て、情報を提供し新たな事業を生み出し、それらを循環させていく企業になる、という壮大な成長ストーリーの第一歩となる案件だ。

    とは言え、事業再生経験を持たない藪ノ社長の奮闘は始まったばかりだ。2022年10月に株式譲渡が実行予定の新設分割会社は当面、藪ノ社長が経営指揮を執るという。同社と未経験のホタテ会社の2足の草鞋を覚悟し、取締役会で巻き起こった大反対も乗り越えての選択だ。

    そのやる気はいったいどこからくるのだろうか。マザーズ上場後、現場感が薄れて引退が見えかけた時期が藪ノ社長にもあったという。「本当に自分がグロースの気持ちを持ち続けることは、強く意識していないと楽な道はいくらでもある。僕もそうなりかけた時期があったけれど、コロナに張り倒されて目が冷めて、このまま一発屋で終わったらダメだ!と。

    成長を期待して買ってくれた投資家に納得してもらえるだけの挑戦をしつづけたい、やる気だけはあります!」と大きく宣言してくれた。藪ノ社長の描いた姿へと歩みを進める同社の奮闘が楽しみである。

    Coverage:2022年7月6日

    時価総額:25億12百円





    当記事は、有価証券への投資を勧誘することを目的としておらず、また何らかの保証・約束をするものではありません。
    投資に関する決定は利用者様ご自身のご判断において行っていただきますようお願い申し上げます。

  • IRニュース

  • 会社情報

    社名
    クックビズ株式会社 cookbiz co.ltd
    本社
    〒530-0012
    大阪府大阪市北区芝田2丁目7番18号 LUCID SQUARE UMEDA 8階
    電話番号
    06-6374-9912
    代表者
    藪ノ 賢次
    設立
    2007年12月10日
    資本金
    703,718千円

    事業内容

    《フード関連業に特化した以下事業》
    有料職業紹介事業/求人サイト運営事業/研修事業


    役員

    代表取締役社長:藪ノ 賢次
    取締役:鳥海 直樹
    社外取締役:吉崎 浩一郎
    常勤監査役:遠藤 隆史
    監査役:嶋内 秀之
    監査役:福本 洋一

    代表プロフィール

    藪ノ 賢次のプロフィール画像

    藪ノ 賢次(やぶの けんじ)

    1980年 5月生まれ 2004年 大阪府立大学工学部卒業 2007年 クックビズ株式会社設立、代表取締役就任